質感 について JBrC2017のレシピ その5
今回は④ Juicy (質感) の項目を考えていきたいと思います。
CONTENTS
前回までのおさらい
前回、③Acidity の達成の条件を書きました。
前回の記事はコチラ!!
では、美味しいコーヒーの為の抽出コンセプトのおさらいです。
コーヒー豆の良い部分を全て出し尽くす。かつ、クリーン(不快な味などがなく、フレーバーや甘さを明確に感じる)に抽出すること。
僕の考える良い部分とは…
①Sweet(熟した果実のような甘さ)
②Clean(不快な味などがなく、フレーバーや甘さを明確に感じる)
③Acidity(様々なフルーツを思わせる明るい酸味)
④Juicy(とろみのあるジュースのような質感)
まさに、、SCAJです( ・`ω・´ ) キリッ
① Sweet ① Sweet についての記事はコチラ!!
② Clean ② Clean についての記事はコチラ!!
③ Acidity ③ Acidity についての記事はコチラ!!
④ Juicy (質感) について
さて、コーヒーの良い質感というのはどのようなものでしょうか。
一口に質感と言っても、実は2つの感覚のことを差しています。
それは、口に含んだ時のスムースさと、液体の重さです。
私が考える良い質感とは
①スムースであること
スムースとは、口や喉の感覚に渋みやザラつきなどの不快感がなく、スルっと飲み込める感覚です。
口に含んだ瞬間から、舌や口の中、飲み込んだあとの喉の感覚までを総合的に感じています。
②液体の重たさがあること
液体の重たさとは、ワインのボディに似た感覚だと思います。
実はコーヒーのボディもワインと同じく、「ライトボディ」・「ミディアムボディ」・「フルボディ」にわけられています。
この中で、ミディアムからフルボディくらいの液体の重たさが欲しいと考えています。
何故スムースと液体の重たさが必要なの
スムースであることは飲んでいる最中や飲み終わりの心地良さに繋がります。
そして、液体の重さがあることは満足感に繋がるからです。
少し話はそれますが、フレーバーティーや紅茶とコーヒーの一番の違いは、質感だと思っています。
巷ではフレーバーのあるコーヒーが持て栄されていますが、単にフレーバーがあるだけならフレーバーティーや紅茶の方が明確かつ強度の強いフレーバーを感じられると思います。それでも、コーヒーを選びたくなる理由は、心地よくて満足感があるからではないかと思います。
良い質感はどうやって出すか
では、良い質感を出すためにはどうすれば良いでしょうか。
心地よい質感のためには、スムースと液体の重さの2つを分けて考える必要があります。
スムース
①適正な抽出
②適正な焙煎
③コーヒー生豆の品質
液体の重さ
①焙煎度合い
②抽出の進み具合
③コーヒー生豆の品種やプロセス、テロワール
上記の2つを同時に満たすことで、心地よい質感になると考えています。
このどこか1つでも欠けてしまうと、心地よい質感になりにくくなります。
例えば、適正な焙煎がされていない場合、コーヒー豆自体に渋みやザラつきがあるため、適正な抽出をしてもスムースさが今ひとつとなります。さらに、抽出を進めるとさらにザラつきなどが増してしまうため、抽出による液体の重さも出せなくなります。
このように、どこか1つの要因が欠けるだけで、色々なところに影響してしまうのです。
しかし、裏を返せば、上記の条件を満たせば、心地よい質感のコーヒーを作ることができます。
抽出で良い質感をだすには
条件の中の適正な抽出とは、クリーンやアシディティの時と同じです。
抽出の進み具合というのは、アンダーエクストラクションとオーバーエクストラクションの間の中で、どこまでオーバー寄りの抽出にするかということです。
すなわち、適正抽出の中で出来る限りオーバーエクストラクション寄りの抽出をすることで、良質な質感を出せるのです。
このように、質感は様々な条件を満たすことでようやく達することができます。
質感の良いコーヒーはバリスタ、ロースター、カッパー、ファーマーの人達の努力の結晶とも言えますね。
大会で抽出したコーヒーの質感は
さて、この大会では Juicy ではなく…、実は、Bodyはミディアムでシロップのような質感を出しました。
実は Juicy という表現は、ライトボディに分類されます。
しかし、私はもっと重たい液質で蜂蜜のような甘さを表現したかったので、抽出をオーバーエクストラクション寄りのギリギリまで引っ張ってシロップのような質感を出したのです。
それでは、次回はいよいよ最終回!
今回の抽出の意図を解説していきたいと思います!!
最後に宣伝をw
JBrC2017の決勝大会では、オンラインショップでも販売している、
ケニア ニエリヒル農園 ミディアムロースト
を抽出しています。とても美味しい豆です。今まで飲んだケニアの中で群を抜いていました。衝撃的な美味しさで、ケニアが大好きになってしまいました。
では、また次回。不定期更新でゆるりとまいります。